2013年4月2日火曜日

“あの”中毒ゲーム再び。アーランドシリーズ第2弾「トトリのアトリエ」が,装いも新たにPS Vitaへ降臨

 「トトリのアトリエ ?アーランドの錬金術士 2?」は,アトリエシリーズ12作目(A12)として2010年の6月24日に発売されたPlayStation 3用タイトルだ。人気イラストレーターの岸田メル氏がデザインするキャラクター達を忠実に再現した3Dモデルや,遊べば遊ぶほど味が出てくるシリーズおなじみの調合システムなどが好評を得た作品で,アトリエシリーズの中でも目立つヒット作となった。

 そんな同作が,2012年11月29日に「」(以下,トトリのアトリエPlus)として,PlayStation Vitaで帰ってくる。PS Vita版で最も注目すべきは,PlayStation 3版と遜色のないクオリティを携帯機で楽しめることだが,新たなアイテム「服飾品」の追加といった新要素がしっかりと用意されている点も見逃せない。

 主人公であるトトリの着ている服や身に着けたアクセサリを着せ替えるための服飾品は,PS3版でアーランドの世界を靴底がすり減るほど歩き回ったという人にとっても,嬉しい追加点になるはずだ。

 今回は,ドラゴンクエスト10 RMT,そんなトトリのアトリエPlusに一足早く触れる機会を得たので,新規要素の紹介を交えつつ,あらためて作品の魅力を探っていこう。


アトリエ初体験でも迷わずプレイできる易しいシステム


 さて,まずはトトリのアトリエの物語をおさらいしておこう。
 舞台となるのは,とある王国「アーランド」。この地は,本作の前日談にあたる「」,そして3部作が大団円を迎える「」でも,物語の拠点となる場所だ。

 トトリのアトリエは,ロロナのアトリエの5年後を描いた作品であるため,作中では前作で活躍したキャラクター達の成長した姿を見ることができる。ドジで天然ボケだった前作の主人公ロロナは登場時22歳になっており,精神的“には”かなりたくましくなっているし,騎士道をちょっと変な方向にこじらせている強面ステルクも,以前よりは少し落ち着いた雰囲気をまとっている。

 物語そのものはトトリのアトリエだけで完結しているので,プレイするうえで前作を気にする必要はないが,でキャラクターの関係図をさらっと見ておくと,会話イベントなどでキャラクター同士の関係を掴みやすくなるかもしれない。

初登場のときのロロナは14歳。前作で描かれた物語をとおして成長し,トトリのアトリエではトトリの先生として頼れる存在になっている……はず

 ともあれ,そんなロロナ達の活躍した王都の南方に位置する小さな漁村「アランヤ村」が,今回の主人公トトリ達の暮らす土地だ。彼女は,のんきでどこかだらけている父?グイードと,しっかりものの姉?ツェツィの二人と共にまったりと日々を過ごしていたのだが,ロロナとの出会いをきっかけに錬金術を学び,やがて音信不通になった母親を探すために,冒険者になる決意をする。そして,この地を拠点として,トトリは壮大な冒険へと旅立つことになるのだ。

 システムはPS3版から大きく変わったところはなく,プレイ開始から約3か月半がチュートリアル風になっているのも同じ。この期間で,ゲームに関する基本的なことが物語に沿ってすべて説明されるので,初めてプレイする人でも迷うことはないだろう。

チュートリアル期間が終わると,都市内のショートカット移動が可能になる。また,PS Vita版ではワールドマップの移動がタッチ操作に対応したため,PS3版と比べてサクっと目的地を選べるようになった。ちなみに,街中ではシリーズお馴染みの「た?る!」を見ることもできる

 ゲームの基本的な流れは単純明快で,酒場などで「依頼」を受け,アイテムの納品やモンスターの討伐をこなして冒険者としてのポイントを溜める。そして冒険者ランクを上げて,より遠くの土地へと移動し,さらなる材料やレシピを集める,というサイクルだ。あとは,要所で見つけられる母親の手がかりを元に旅を続けていくことが,トトリの大きな目的となる。

 ゲームの要となる調合も,レシピさえあれば素材と作成したいアイテムの個数を選ぶだけの簡単仕様だ。いきなりレベルの高いアイテムを調合しようとすると失敗する場合はあるが,自分のレベルにあったものであれば大丈夫だ。素材は,ワールドマップからフィールドに移動して「採取」する場合が多いが,「水」といった基本的なものなら街中の井戸などから手に入る。ちなみに,フィールドには敵がウロウロしているので,採取にいくときは戦闘の準備を忘れずに。

戦闘はターン式のコマンドバトルで,素早いキャラクターから順にターンが回ってくる。シンボルエンカウント制なので,採取に集中したい場合は避けながら移動しよう


新要素の要は「服飾品」と新ダンジョン「オルトガラクセン」


 冒頭でもお伝えしたとおり,PS3版トトリのアトリエを,ほぼそのままのクオリティでPS Vitaへと移植したトトリのアトリエPlusには,「服飾品」といった嬉しい新要素も用意されている。服飾品が追加されたことで,トトリの着せ替えができるようになったのだ。

 服飾品の合計収録数がどのくらいになるのかは分からないが,コスチュームとアクセサリの組み合わせはかなりの数になるようだ。コスチュームには水着メイド服,回復アイテムの効き目が倍増する気になってくるナース服などがあり,アクセサリにはトトリが賢く見えるメガネや,可愛らしいリボンといったものが用意されている。まあ正直,どの姿でプレイしてもトトリは天使だが。


 ただし服飾品は,どこにあるのか分からないレシピを探し出し,強敵を倒して貴重な材料を手にいれた末のご褒美といったところで,調合できるようになるまでの道のりは意外と険しい。

 実は,服飾品を調合するための素材を落とすモンスターは,物語後半になると出現する追加ダンジョン「オルトガラクセン」に出現する。オルトガラクセンは,前作ロロナのアトリエにも登場した高難度ダンジョンで,冒険者としてかなりの実力がないと歯が立たないモンスターがウヨウヨしている場所なのだ。単純にゲームをクリアするだけであれば訪れる必要はないが,服飾品を楽しむためにも,ぜひ1度は挑戦しておきたい。

オルトガラクセンは,どこか機械的な雰囲気が漂うダンジョン。方向感覚を失いやすいので,注意が必要だ。出現する敵は,雑魚ですら油断ならない相手。ボスに至っては,普通にプレイしていたのでは太刀打ちできない強さを誇る。探索では優秀な調合アイテムと装備品,そしてプレイヤーの経験が物をいう

 新たな強敵との戦闘も待ち受ける中,頼もしい仲間としてトトリのアトリエPlusで追加されたのがツェツィ,クーデリア,イクセルの3キャラクターだ。PS3版ではダウンロードコンテンツとして配信されていたが,PS Vita版では物語の途中から仲間として一緒に冒険できるようになっている。

 また,ほかのパーティキャラクターに関してもバランス調整がなされている。例えば,序盤に仲間となるジーノは,中盤までの成長パラメータが変わり,非常に頼れるキャラクターになった。プレイヤーごとの好みがあるので,これが最善というパーティはないが,戦略の幅は広がった印象だ。

追加キャラクターは,回復役としても重宝するイクセル,トトリとの連係が使えるツェツィ,アシストでお世話になるクーデリアと,どれも心強い。ぜひ一度,ドラクエ10 RMT,彼らと共に冒険に出かけてみよう

 このほかにも,PlayStation 3で配信されたDLC「BGM追加パック」も始めから導入済みと,かなりお買い得になっているのもポイントだ。

BGMはかなりの数の曲が収録されているので,ジュークボックス代わりにして聴いていても飽きない。過去のアトリエをプレイしている人なら,思わず“あの曲が入ってる!”などと盛り上がれるはず


PS3版と遜色のない内容を携帯できる喜び


 追加要素もさることながら,やはりPS3版と同等のクオリティを保ったトトリのアトリエが,携帯機で遊べるというのは嬉しい。映像に関していえば,有機ELディスプレイのハイコントラスト感も手伝って,PS3版以上に美しく感じられるほどだ。岸田メル氏によって,新たに描き下ろされたイベントグラフィックスも収録されているので,ビジュアル面で本作に期待している人には間違いなくオススメできる内容となっている。


 一方,プレイしていて1つ気になったのは,PS Vita版では戦闘移行時の画面切り替えにややもたつきがあること。アランヤ村に最も近い森で,モンスターのシンボルとぶつかってから,ゲーム画面が戦闘シーンに切り替わるまでの時間を,実際に何度か比較してみたところ,PS3版では2.5秒から3秒だったのに対し,PS Vita版では6秒程度となっていた。

 あえて比較しなければさほど気にせずにプレイできるが,この点はあらかじめ念頭に置いておきたい。なお,この比較にはPS Vitaカードではなく,メモリーカードにゲームデータを保存したバージョン(いわゆるDL版相当)を使用している。

 ただ,それを差し引いても,PS3版と同等クオリティの作品をPS Vitaでプレイできるメリットは大きい。やりこみ要素が豊富なトトリのアトリエ Plusは,空いた時間に少しずつ進められる携帯機との相性が良いように思う。

 本作は,ほかのアトリエ作品と比べても移動できる場所がかなり広いため,一周目はベストエンディングに辿り着けない可能性が高い。周回プレイ時には一部のデータを引き継げるので,すべてのエンディングを見るべく,何度も遊んでみよう。新たに追加されたオルトガラクセンのモンスターを倒し,一通りコスチュームを集めたならば,おそらくそのときにはアーランド指折りの冒険者になっているはずだ。


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