2013年2月25日月曜日

連載「キャラゲー考現学」第32回:「MELTY BLOOD Act Cadenza Version B」_1

 MELTY BLOODの制作を主に担当したのは「月姫」を制作したサークルではなく,「2次創作格闘ゲーム」を得意とする別サークルだという部分も,実に“同人ゲームらしい”展開であった。もっとも,ストーリーモード部分では「月姫」の制作スタッフが協力しており,DarkBlood RMT,2サークルの共同制作という形になっている。  MELTY BLOODが同人ゲームとして最初に登場したのが2002年12月。その後の2004年5月,バランス修正や,ストーリーモードの後日談的な位置付けとなる「アーケードモード」が加わった追加ディスク「Re?ACT」が登場した。  ここまでは「同人ゲーム」の範疇だったのだが,2005年3月にRe?ACTにキャラクターを追加してバランスを調整した「Act Cadenza」が,アーケード版格闘ゲームとしてリリースされる。これが2006年8月,プレイステーション2に移植/発売された。そして,プレイステーション2版をベースにしたアーケード版のVer.Bが登場,これをWindowsに移植したのが,今回のAct Cadenza Ver.Bということになる。  さて,大本になった「月姫」は「伝奇ストーリー」に属するビジュアルノベル形式のゲームであり,決して格闘ゲームではない。同人ゲームとしては異例ともいえるボリュームと,高いクオリティのストーリーが評判となり,「月姫PLUS?DISC」や「歌月十夜」といった関連作品も発表されるなど,同人ゲームとしてあまり類を見ない大ヒットとなった。参考までに述べておくと,MELTY BLOODは単純にキャラクターを利用した派生作品ではなく,ストーリーモードでは月姫および歌月十夜に続く物語が語られるという,れっきとした“続編”である。  登場キャラクターは「突然主人公の前に現れた謎の少女」「気さくで物腰は柔らかいが,実は裏稼業(?)を持つ学校の先輩」「幼い頃から別々に育てられた妹」「久しぶりに戻ってきた実家にいた使用人の姉妹」など,ライトノベルにも通じる人間関係を用意しつつ,菊池秀行や夢枕獏のライトノベル系伝奇モノにも似たストーリーを展開する。  Act Cadenza Ver.Bはその番外編的作品であり,「月姫」の登場キャラクターを利用して原作ファンが楽しめるだけでなく,格闘ゲームとしてもなかなかの完成度を持った作品に仕上がっている。 シエル志貴の学校の先輩。物腰が柔らかく気さくな人だが,実は聖堂教会の異端審問組織「埋葬機関」の代行者として,神に代わって異端を排除する役目を持っている,戦国IXA RMT。なぜかゲーム中の食事シーンでは,必ずカレーを食べている。また,月姫本編のバッドエンド後にヒントを教えてくれる「知得留先生」(しえるせんせい)として,ネコアルク(ェイド)と共に漫才を繰り広げる。そちらのほうがインパクトが強いせいか,シエル本人の人気はいま一つとの噂も。 (CV:佐久間紅美) 翡翠遠野家の使用人で,食事を除く家事全般と志貴の世話を受け持つ,寡黙で無表情なメイドさん。「月姫」の最初の版における誤植「お部屋をお連れします」などから,だんだんギャグキャラと化してしまい,「あなたを,犯人です」を決めゼリフとするネタが生まれるなど,ある種いじられキャラ化している。Act Cadenza Ver.Bでは別キャラとして「メカヒスイ」なるものまで登場しており,いじられ度合いが増している。 (CV:松来未祐) 琥珀遠野家の使用人で,翡翠の双子の姉。いつも笑顔を絶やさない。本編ではその理由がきちんと設定されていたが,以降の作品ではただはっちゃけているだけのようにも見える。薬学の心得があり,さまざまな薬を調合しているらしいが,Act Cadenza Ver.Bのなかでは,単なる火炎瓶使いのように見えなくもない。その点では,某化学部の予算獲得のために戦う女子高生を思い出すが,まあ関係ないだろう。一応MELTY BLOODのシステムには,「技の相殺」が取り入れられてはいるのだが。 (CV:高野直子)
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